今月の表紙
水晶体脱臼
中平 めぐみ
1
,
三宅 養三
2
1亀田総合病院眼科
2名古屋大学眼科
pp.1173
発行日 2003年7月15日
Published Date 2003/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101319
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症例は63歳男性。右眼の異物感,視力低下,圧迫感を主訴に近医を受診した。細隙灯顕微鏡検査で4~6時に結合を残すのみで,ほぼ全周にわたる水晶体の亜脱臼を認めたため当院を紹介され受診となった。外傷の既往や血液生化学的異常を伴う全身疾患はない。来院時の右眼視力は0.04(1.2)で,すでに水晶体は硝子体腔に落下していた。水晶体囊の破損はなく,前房や硝子体の炎症所見を認めなかったため,経過観察となった。4日後,突然の嘔気,嘔吐症状が出現し,当院救急外来を受診した。受診時の右眼眼圧は58mmHgであった。硝子体腔にあった落下水晶体は,前房内に移動していた。瞳孔は水晶体後面でブロックされ,隅角は上方3~9時にかけて閉塞していた。上方輪部に強角膜弁を作成し囊ごと水晶体を摘出した。視力は現在(1.2),眼圧は正常範囲内である。
撮影は,コーワ社製のフォトスリットランプSC-1200を用い,フィルムはコダック社エクタクローム400を使用した。(亀田総合病院眼科 中平めぐみ)
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