特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅰ.術中合併症の予防と対処
核落下
吉田 紳一郎
1
1吉田眼科病院
pp.80-83
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100794
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傾向
白内障手術に際して硝子体内への核落下は重篤な合併症である。放置すると落下水晶体が原因となって水晶体過敏性眼内炎や眼圧上昇など二次的な合併症を起こす。原因は術者の不注意が最も多いが,患者側の要因として水晶体脱臼や高齢者の偽落屑症候群などが考えられる。
不幸にして核落下を生じた場合,早期の完全な核片除去を考えるべきである。しかし,硝子体手術の設備がない場合や術者が硝子体手術の経験がないときは決して無理をせず,一度創を閉鎖し硝子体専門病院に転送すべきである。また1/8水晶体径以下の軟らかい核片であれば放置していても自然吸収する可能性が高い。しかし眼圧上昇や眼内炎などの二次的合併症を生じた場合や,白内障手術のインフォームド・コンセントにより術翌日より良好な視力回復を目的としている場合は早期の対処をすべきである。
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