特集 眼感染症診療ガイド
コラム 眼感染症への取り組み・いまむかし
落下細菌への取り組み
佐々木 香る
1
1熊本大学
pp.190
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101451
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CDC(米国疾病管理・予防センター)のガイドラインによると,環境からすべての菌を除菌することは,不可能であり無意味だそうである。したがって,落下細菌についても,調べてどうこうするべきものではないとされている。しかし,予防医学,環境感染医学が叫ばれる21世紀,自分の勤務する病院内にどんな種類の菌がどの程度,浮遊しているのか,また手術室ではほんとうに落下細菌が少ないかどうかなど,知りたくなるのは人情である。そこで人情深い浪速っ子,佐々木は立ち上がった。
ちょうど院内感染対策委員を任されたこともあって,お金とマンパワーに差し障りが出ない限り,調べてみようと思って発表したのが,2002年の眼感染症学会である。「眼科専門病院各部署における落下細菌について」。こんな演題,あんまりメジャーじゃないなあ,と自分でも思いつつ,届いた抄録に目を通した。案の定,学会一般口演の最終演目である。事務局の方とて他の演題とグループ化できないこのような演題を,どの時間帯に配置しようか迷われたことだろう。結論としては,➀ 人の動線と検出菌数が比例する,➁ 手術室は少ないが,外来処置室は外来同様に検出菌数が多い,➂ ICT(infection control team)による啓蒙活動は効を奏するという,ごく当たり前のものである。
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