特集 新しい時代の白内障手術
Ⅳ.非定型な眼内レンズの挿入
トピックス
眼内レンズの落下例
恵美 和幸
1
,
坂東 肇
1
1大阪労災病院眼科
pp.221-223
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103431
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はじめに
眼内レンズ移植が囊内あるいは囊外固定として一般的な術式となったのは1980年代であるが,それ以後われわれ眼科医は,白内障症例には可能な限り眼内レンズを挿入し続けてきた。しかし,Zinn小帯脆弱例や破囊例1,2)などで術数年~10年を経て眼内レンズが偏位・脱臼し,さらには硝子体内に落下する症例を経験することも稀ではない。眼内レンズ偏位が軽度であれば経過観察を続けてもよいが,眼内レンズの震盪や偏位が大きく亜脱臼となった例では,将来完全に脱臼することが予想されるため,摘出手術の計画を立てる必要がある。
すでに眼内レンズが後眼部へ落下している場合,網膜や視神経が損傷される危険性があるため早急に対処せねばならない。整復方法は落下した眼内レンズの種類,囊の状態,既往歴や合併疾患の有無によって異なり,各症例に応じた治療戦略を立てる必要がある。いうまでもないが,本手術は網膜直上での操作を含む硝子体手術が基本となるため,ある程度硝子体手術に習熟した術者により施行されることが望ましい。
本項では,眼内レンズ落下例への手術方法および手術時の注意点について各ステップに分けて整理していきたいと思う。
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