特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅰ.術中合併症の予防と対処
後囊破囊,硝子体脱出
谷口 重雄
1
1昭和大学藤が丘病院眼科
pp.74-79
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100793
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傾向
後囊破囊は,超音波水晶体乳化吸引術(phacoemulsification and aspiration:PEA)における角膜内皮細胞障害,創口熱傷,虹彩損傷などさまざまな術中合併症の1つであり,2.5~4.1%の割合で発生する1~3)。核破砕中の超音波(US)使用時,核分割時,灌流吸引(irrigation and aspiration:I/A)操作時,眼内レンズ(IOL)挿入時などPEAのほとんどの場面で起こりうる。
破囊原因としては,US使用時のサージ現象に起因するものが第1に挙げられる。サージ現象とは,USチップの先端に核片が閉塞して設定吸引圧に達した状態でUSをかけ,核片が吸引された瞬間に吸引圧が急激に低下したときの圧変化により前房が虚脱する状態をいう。このとき,後囊が前房側に浮き上がってくるため後囊破囊の危険が高くなる。
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