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症 例
患者:13歳,男性
主訴:視力低下
現病歴:1年前,学校健診での視力検査にて両眼の視力低下を指摘され,近医を受診し,右眼の円錐角膜を疑われ,精査・加療目的で当科外来を受診した。
既往歴:喘息
家族歴:特記すべきことはない。
初診時所見:視力は右0.2(0.6×S+0.50D()cyl-5.00D Ax180°),左0.3(0.9×S+0.50D()cyl-1.50D Ax180°)で,眼圧は右8mmHg,左11mmHg(非接触型眼圧計)であった。オートレフラクト・ケラトメータによる他覚的屈折値および角膜曲率半径測定では,両眼に高度の直乱視がみられた(表1,2)。細隙灯顕微鏡検査において両眼の角膜中央部に突出がみられたが,角膜混濁,フライシャー環およびVogt's striaeなどはみられなかった。中間透光体,眼底には異常はなかった。Photokeratoscope(PKS)(R)では両眼の角膜中央部からやや下方を頂点としたプラチドリングの狭細化を認め(図1),TMS-2N(R)のKeratoconus Screening(Klyce/Maeda)の値は右眼55.7%,左眼25.4%で(図2),両眼の円錐角膜と診断された。
治療・経過:眼鏡による視力補正で日常生活に不自由のない矯正視力が得られたため,眼鏡処方にて経過を観察していたが,最近,眼鏡による矯正視力の低下を自覚したため当科を再診した。再診時の矯正視力は右0.15(0.4p×S+1.25D()cyl-2.5D Ax60°),左0.3(0.9×S+0.50D()cyl-1.50D Ax180°)で,表3,4に再診時のオートレフラクト・ケラトメータによる他覚的屈折値および角膜曲率半径を示す。角膜形状解析は,左眼は初診時とほぼ同程度の角膜の突出であったが,右眼は角膜中央部下方の突出が進行していた(図3)。両眼ともレンズ交換法による矯正視力が不十分であったことから,ハードコンタクトレンズ(以下,HCL)の適応と診断し,HCLを処方した。HCLのフィッティングは,右眼は2点接触,左眼は3点接触(図4)で,センタリングや瞬目に伴うレンズの動きも十分で涙液交換も良好であった。自覚的にも異物感や眼痛などはみられず,HCL装用下での矯正視力は右(1.2×HCL),左(1.2×HCL)であった。
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