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連載 日常みる角膜疾患・77
角膜移植後の問題点―(3)乱視に対するコンタクトレンズ処方
(3)Contact lens prescription of astigmatism after keratoplasty
柳井 亮二
1
,
西田 輝夫
1
Ryoji Yanai
1
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科眼科学
pp.1244-1247
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102816
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症例
患者:32歳,男性
既往歴:喘息
家族歴:特記すべきことはない。
現病歴:18年前に両眼の円錐角膜と診断された。15年前(17歳時)に右眼の全層角膜移植術を施行され,術後の経過は良好であった。右眼は視力補正の目的でハードコンタクトレンズを処方されたが,装用感や見え方に満足できなかったため当科を受診した。
初診時所見:視力は右0.2(矯正不能)(1.0×HCL),左0.15(矯正不能)(1.2×HCL)で,眼圧は右15mmHg,左9mmHg(非接触型眼圧計)であった。細隙灯顕微鏡検査において,右眼の角膜は透明で,角膜上皮障害や角膜後面沈着物などはみられなかった(図1)。角膜内皮細胞密度は右433個/mm2,左2,216個/mm2で,涙液分泌検査(Schirmer試験第1法)は両眼とも1mmであった。角膜形状検査では,右眼のマイヤー像は縦長の楕円形,左眼は角膜中央部から外下方にマイヤー像の不整を認めた(図2)。ハードコンタクトレンズのフィッティングはスティープで涙液交換が不十分であった。
治療経過:右眼の角膜移植後の角膜形状異常に伴う角膜不正乱視に対し,視力補正のためハードコンタクトレンズを再処方した。再処方したハードコンタクトレンズはlarge and flat法に類似した方法でレンズをフィッティングさせることで,レンズのセンタリングを保ちながら涙液交換が増加し,装用感も改善した(図3)。視力は右(1.2×HCL)であった。現在までに感染などのハードコンタクトレンズによる重篤な眼障害,拒絶反応はみられておらず,内皮細胞密度も500~600個/mm2と維持されている。
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