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症例
患者:37歳,女性
主訴:コンタクトレンズの定期検査
現病歴:近視矯正目的のソフトコンタクトレンズ(soft contact lens:以下,SCL)装用中で,現在,自覚症状はない。
コンタクトレンズ装用歴:従来型のSCLを20年前から使用しており,現在は2週間頻回交換SCLを終日装用していた。現在のケア用品は多目的用剤(multi-purpose solution:以下,MPS)を使用し,ケア方法を遵守していた。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。アトピー素因なし。
初診時所見:視力は右(1.2×SCL),左(1.2×SCL)であった。細隙灯顕微鏡検査において,SCLのフィッティングは良好であったが,両眼に軽度の充血がみられた(図1a)。SCLをはずしてフルオレセイン染色を行うと,両眼にA3D2の点状表層角膜症(superficial punctate keratopathy:以下,SPK)を認めた(図1b)。両眼の眼瞼結膜に充血,濾胞や乳頭の形成はみられなかった。涙液検査は,シルマー試験では両眼とも正常で,マイボーム腺の閉塞はみられなかったが,涙液破綻時間は3秒に短縮していた。
経過:SCLはFDA分類(表1)でグループⅠ(低含水,非イオン性)の素材で,レンズケア用剤は塩酸ポリヘキサニド(以下,PHMB)を消毒成分としたMPSであった。MPSによる角膜障害が疑われたためSCL装用を中止し,抗菌点眼薬の点眼を行った。SCL装用中止後4日目に両眼の充血は軽減し,点状表層角膜症は治癒していた(図1c,d)。以後,SCLの装用を再開に当たって,ポビドンヨード製剤のケア用剤に変更し,現在までSPKの再発はみられていない。
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