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連載 日常みる角膜疾患・66
虹彩角膜内皮症候群
Iridocorneal endothelial syndrome
鈴木 克佳
1
,
相良 健
1
,
近間 泰一郎
2
,
西田 輝夫
1
Katsuyoshi Suzuki
1
,
Takeshi Sagara
1
,
Tai-ichiro Chikama
2
,
Teruo Nishida
1
1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
2山口大学医学部眼病態学講座
pp.1426-1429
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102376
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症例
患者:70歳,男性
現病歴:約3か月前から右眼の霧視感を自覚して近医を受診したところ,右眼の白内障,左眼の虹彩萎縮と角膜内皮異常を指摘され,精査目的で当科へ紹介された。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
初診時所見:視力は右0.8(1.2×S+2.00D()cyl-0.50D 10°),左1.0(1.0×+1.75D()cyl-1.00D 10°),眼圧は右15mmHg,左15mmHgであった。細隙灯顕微鏡検査では,左眼の虹彩萎縮と鼻側への瞳孔偏位,角膜内皮面輝度の上昇があった(図1)。
角膜中央部でのスペキュラーマイクロスコープによる観察では,角膜内皮細胞密度および六角形細胞率の減少と,細胞内にdark areaがあった(図2a)。3時から10時にかけてSchwalbe線を越える周辺虹彩前癒着があった(図2b)。右眼には皮質白内障があったが,角膜や虹彩に異常所見はなかった。
片眼性に角膜内皮異常,虹彩萎縮,周辺虹彩前癒着があり,眼内炎症はなかったことから,虹彩角膜内皮症候群(iridocorneal endothelial syndrome:ICE syndrome)のサブタイプであるChandler症候群と診断した。
経過:角膜浮腫による視力低下や眼圧上昇を来していないため,無治療で経過観察中である。
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