特集 眼科における最新医工学
I.診断機器への応用
HRTの原理と臨床応用
八百枝 潔
1
,
白柏 基宏
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野
pp.47-53
発行日 2005年10月30日
Published Date 2005/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100190
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はじめに
緑内障はその病期の進行の過程において,初期には視神経障害が視野障害に先行して出現するため,疾患の早期発見には視神経乳頭(以下,乳頭)を中心とした眼底所見を的確に判断することが必須である。また,緑内障の経過観察を行ううえでも,眼圧や視野の変化のみならず,眼底の変化を捉えることが重要であることはいうまでもない。しかしながら,乳頭形状には個人差が大きいこと,緑内障性視神経障害が進行しても乳頭には軽微な変化しか生じないことなどから,眼底所見のみから緑内障を診断することや緑内障の進行の有無を判定することは容易ではない。
近年種々の眼底画像解析装置が臨床導入されており,特に共焦点システムを用いた走査レーザー検眼鏡の使用により,眼底の詳細な観察が可能となっている。Heidelberg Retina Tomograph(HRT,Heidelberg Engineering社)は代表的な共焦点走査レーザー検眼鏡である。HRTでは乳頭陥凹を3次元的に解析し,視神経所見を定量的かつ客観的に評価することが可能であり,現在緑内障診断を中心に臨床応用されている1)。本項ではHRTの測定原理および緑内障診断における臨床応用について述べる。
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