連載 あのころ あのとき48
研鑽の時(1)
山本 節
1,2
1神戸大学
2兵庫県立こども病院
pp.26-28
発行日 2005年1月15日
Published Date 2005/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100004
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卒後研修
卒後臨床研修が開始され,問題もあるようですが,しっかりした医師が養成されれば喜ばしいことです。私が大学を卒業した1960年頃は,全員1年間の医師研修のインターンがありました。しかし,その頃はいまと違って何の身分保障もない無給の研修でした。卒業生の大部分の者は大学に残りましたが,私は大学と違った施設で研修したいと考え,大阪の北野病院を選びました。インターン生はいろいろな大学から20数名来ていて,お互い和気あいあいと研修を受け,楽しかった1年間の想い出があります。
各科ローテイトの研修で,それぞれの科にはいろいろな先生がおられましたが,指導医の先生はお忙しいなかインターンの私たちによく指導してくださり,種々の検査や手術までやらせていただいたことは医師としての大きな財産になっています。例えば,外科では指導医のもとでappendicitisの手術をさせていただきましたし,小児科では赤ちゃんのルンバールをさせていただき,一発で出血もせずリコールの検査ができ,先生から上手に誉められ,大した手技でなくても本人にとっては大きな自信になりました。内科では前もって内科雑誌で勉強しておいて,地域の研究会に出て,生意気にも質問したりしていました。肝腎の眼科は2週間と短く,白内障の手術などを見学しましたが,手術顕微鏡もビデオもない時代ですから,細かい手技は十分理解できずに終わりました。外の病院での研修で,大学は大学としてのよさがあり,一般病院は病院としてのよさがみえただけでも収穫であったと思っています。
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