症例
子宮腟上部切断術後に発症した結腸憩室症によるS状結腸腟瘻の一例
粉川 信義
1
,
大谷 尚子
1
,
矢本 希夫
1
,
仲野 良介
1
Nobuyoshi Kokawa
1
1和歌山県立医科大学産科婦人科学講座
pp.875-877
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904962
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S状結腸腟瘻は稀な疾患であり,その発症の背景として悪性腫瘍,子宮摘出術後,放射線療法後,膿瘍形成,外傷,憩室症などが知られているが,このうち結腸憩室症に伴う発症が最も多いといわれている。今回われわれは子宮腟上部切断術後50年を経て発症した結腸憩室症によるS状結腸腟瘻の一症例を経験し,術後良好な経過がみられた。原疾患ならびに瘻孔の部位およびその数を正確に評価することが外科的治療の施行上重要なことであるが,腟造影法は注腸造影法,大腸内視鏡等に比べより有用な診断法であると思われた。結腸憩室症は加齢とともに増加するが女性の平均寿命の延長に伴い,今後憩室症に起因する結腸腟瘻の症例に遭遇する機会も増加する可能性が考えられ,その診断,治療につきさらに検討していく必要があると思われる。
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