症例
Pseudo-Meigs症候群の一例
大西 洋一
1
,
加藤 賢朗
1
,
柳原 敏宏
1
,
田中 宏和
1
,
和田 理恵
1
,
単 莉
1
,
山城 千珠
1
,
藤本 康之
1
,
林 敬二
1
,
原 量宏
1
,
神保 利春
1
Yoichi Onishi
1
1香川医科大学母子科学教室
pp.871-874
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904961
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Pseudo-Meigs症候群とは良性の充実性卵巣腫瘍以外の内性器腫瘍に胸,腹水を伴い腫瘍摘出後,胸,腹水の貯留が消失するまれな疾患である。われわれは組織型mucinouscystadenoma(borderline malignancy)の卵巣嚢腫に本症を呈した症例を経験したので報告する。
症例。患者60歳。腹部膨隆および呼吸困難を主訴として,当科受診し巨大卵巣嚢腫の診断を受けた。また胸,腹水の貯留も著明であった。腫瘍は左卵巣原発で,他に異常は認めず左付属器摘出術を施行した。組織診断は上述のごとくであった。術後,胸,腹水の貯留は消失した。予防的化学療法として,FCAP3クールを施行し,術後,8カ月後の現在も再発を認めていない。胸,腹水の貯留の原因は腫瘍よりの漏出によるものと考えられているが,われわれの血中,胸水中,組織中のCA19-9,TPAの値は上記の説を支持するものと考えられた。
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