原著
妊娠合併悪性卵巣腫瘍の臨床的検討
廣田 穰
1
,
澤田 富夫
1
,
隅山 充樹
1
,
青木 豊和
1
,
服部 公博
1
,
吉田 麻里子
1
,
吉村 俊和
1
,
神谷 貴之
1
,
樋口 泰彦
1
,
河上 征治
1
Yutaka Hirota
1
1藤田保健衛生大学産科婦人科学教室
pp.1331-1335
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900628
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当教室での最近5年間の妊娠合併悪性卵巣腫瘍例に検討を加え,以下の知見を得た。その発現頻度は,総分娩比で4/3,219(1/800)であった。また妊娠時(13.0%)と非妊娠時(14.6%)における悪性卵巣腫瘍の発現頻度はほぼ同率で,本疾患は諸家の報告ほどは稀な疾患ではないことが類推された。腫瘍sizeに関しては,最大腫瘍断面積(以下MAT)で評価したが,non-neoplastic tumor(ルテイン嚢胞)のほとんどがMAT≦2,000mm2であるのに対し,悪性例では全例がMAT≧3,000mm2を示しており,MAT≧3,000mm2のものは,積極的にneoplastic tumorを疑う必要のあることが示唆された。妊娠合併悪性卵巣腫瘍の腫瘍マーカー動態をルテイン嚢胞を対照とし比較検討したが,腫瘍マーカーの一部はpregnant statusによる修飾を受けるため,その判定に際しては,非妊娠時以上の細心の注意が必要と思われた。
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