Ex Laboratorio Clinico・44
塩基性フェトプロテイン—Basic Fetoprotein
石井 勝
1
1埼玉県立がんセンター病院臨床検査部
pp.931-936
発行日 1980年8月15日
Published Date 1980/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915545
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はじめに
胎児性蛋白であるα-フェトプロテイン(AFP)が肝癌移植マウス血中に出現することを1963年ソ連のAbelevら1)が発見して以来,胎児性蛋白が癌の診断に役立つことが注目され,その後数種のこの種の蛋白が報告2〜4)されている.
塩基性フェトプロテイン(Basic fetoprotein;BFP)は,筆者5,6)が1974年にヒト胎児血清及び胎児腸組織抽出液中に見付けた新しい蛋白で,既知の胎児性蛋白と異なり物性面では酸性蛋白ではなく塩基性蛋白であり,臨床面では特定臓器の癌診断に役立つのではなく広範囲諸種の癌診断,すなわち担癌の診断に役立つという二つの特色を持つ.本蛋白の名称は塩基性蛋白という物性の特徴に由来しているが,以下にBFPの発見のきっかけ,基礎研究の概要,測定法,臨床的意義などについて述べる.
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