原著
妊娠合併卵巣腫瘍—ルテイン嚢胞と新生物腫瘍との鑑別
廣田 穰
1
,
吉村 泰典
1
,
白木 誠
1
,
神谷 貴之
1
,
友松 守彦
1
,
丸山 邦之
1
,
多田 伸
1
,
澤田 富夫
1
,
河上 征治
1
,
福島 穰
1
Yutaka Hirota
1
1藤田学園保健衛生大学産科婦人科学教室
pp.447-452
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900106
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最近3年間に経験した妊娠合併卵巣腫瘍87例に関し解析を行い,以下の結果を得た。妊娠合併卵巣腫瘍の82.7%はいわゆる類腫瘍であり,この中の80.5%はルテイン嚢胞(LC)であった。悪性卵巣腫瘍は,全妊娠合併卵巣腫瘍中1.1%,総分娩比では0.1%と決して低い発生頻度ではなかった。LCの平均消失週数は12.8土0.3週であり,その最大腫瘍断面積(MAT)は98%以上の症例が3,000 mm2以下を示した。ところがLC以外の卵巣腫瘍では,逆にMATが3,000 mm2以上のものが52.9%と半数以上を占めており,MATが3,000 mm2以上を示した場合には,積極的にneoplastic tumorを考える必要のあることが示唆された。またルテイン嚢胞とそれ以外の卵巣腫瘍との間に判別分析を適応した結果,両者の判別にはMATと超音波所見を加味した方が判別効率が高く,得られた線形判別式により91.7%の症例が正判別可能であった。
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