原著
胎児水腫の病態別にみた児の予後—自験例40例の検討
今井 史郎
1
,
中山 雅弘
2
Shiro Imai
1
,
Masahiro Nakayama
2
1大阪府立母子保健総合医療センター,産科
2大阪府立母子保健総合医療センター,病理
pp.471-475
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207792
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40例の胎児水腫(hydrops fetalis)を経験し,これらを原因と考えられる病態別に分類し,病態別に児の予後との関連性を検討し,超音波像からも児の予後予測の可能性を検討した。
1)胎児水腫の原因が胎児と考えられる例は32例(80%)で最も多かった。母体要因1例,免疫性胎児水腫1例あった。特発性(原因不明)は6例(15%)あった。
2)胎児原因32例中生存はダウン症候群3例,双胎間輸血症候群2例,乳糜胸2例,不整脈1例の合計8例(生存率25%)であった。特発性のうち2例が生存した(生存率33%)。胎児水腫全体の生存率は27.5%(11/40)であった。
3)妊娠24週以降分娩単胎のうち,生存している9例および児の死亡に基礎疾患が直接関係しないと考えられた7例の間で分娩週数,出生体重,分娩様式など周産期事象の比較を行ったが,生存例に女児が多い(P<0.05)他には有意差を認めなかった。また胎児超音波像からもこの2群を識別することは困難であった。
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