原著
単一臍帯動脈56例の検討
今井 史郎
1
,
中山 雅弘
2
Shiro Imai
1
,
Masahiro Nakayama
2
1大阪府立母子保健総合医療センター産科
2大阪府立母子保健総合医療センター病理
pp.775-778
発行日 1987年11月10日
Published Date 1987/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207691
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我々は56例の単一臍帯動脈(SUA)の新生児を経験し,合供する先天奇形の有無で2群に分類し,周産期事象の相違を検討した。SUAの頻度は0.75%でありSUAに児の奇形を伴う頻度は42.9%であった。
(1)児の奇形を伴う群の母体の平均年齢は伴わない群より若年であった(27.4歳対30.2歳;p<0.05)。
(2)母体に合併症を認めないものは児の奇形を伴う群に多かった(50%対22%;p<0.05)。
(3)児の奇形を伴う群に流・早産率が高かった(63%対38%;P<0.1)。
(4)児の発育は奇形を伴う群で悪かった(−1.5S.D.以下の発育遅延は64%対23%;p<0.005)。
(5)児の予後は奇形を伴わない群が良かった(78%対8%;p<0.001)。
(6)臍帯の胎盤付着異常,絨毛炎,胎盤の虚血性変化は両群で差を認めなかった。
(7)臍帯断面における1動脈の痕跡の有無も両群で差を認めなかった。
これらのことはSUA児の予後は児の奇形に関係することを示すものであった。
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