原著
単胎例における臍帯付着異常に関する検討
今井 史郎
1
,
入江 真行
2
,
中山 雅弘
3
Shiro Imai
1
,
Masayuki Irie
2
,
Masahiro Nakayama
3
1大阪府立母子保健総合医療センター産科
2大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部
3大阪府立母子保健総合医療センター病理
pp.851-855
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207706
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単胎7,050例での臍帯付着異常(卵膜付着,辺縁付着)と周産期事象との関連性を検討した。
1)発生頻度は卵膜付着1.7%,辺縁付着4.4%であった。辺縁付着は卵膜付着の2.6倍であり,両者を合計すると臍帯付着異常は6.1%あった。
2)軽症妊娠中毒症は辺縁付着が対照に比し高頻度であり,重症の妊娠中毒症は卵膜付着,辺縁付着共に対照に比し高頻度で,卵膜付着でその差は著明であった。
3)分娩週数の平均は卵膜付着36週2日,辺縁付着37週2日,対照38週0日で,3群間で有意差を認めた。早産率も卵膜付着,辺縁付着,対照それぞれが35.0%,24.8%,15.0%であり3群間で有意差を認めた。
4)−1.5S.D.以下の胎児発育遅延が卵膜付着で16.2%,辺縁付着で6.9%,対照で9.6%に見られ,卵膜付着が辺縁付着,対照に比し有意に高頻度であった。
以上のことから臍帯付着異常の病態の根底は慢性の胎児—胎盤循環不全にあると考えられた。
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