特集 婦人科癌発症のNatural history
乳癌
松本 圭史
1
,
寺川 直樹
2
Keishi Matsumoto
1
,
Naoki Terakawa
2
1大阪大学医学部病理病態学教室
2大阪大学医学部産婦人科教室
pp.219-223
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904833
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癌の最大の特長は異常増殖である。したがって,ホルモンと癌の関係についても,ホルモンによって癌の増殖が促進される場合が問題となる。このようなホルモン依存性癌は,ホルモンによってその標的細胞の増殖が促進されるような典型的な標的臓器から発生し,ホルモンによって酵素の誘導だけがおこるような非典型的標的臓器からは発生しない。このホルモン依存性癌には,性ホルモン依存性の乳癌,子宮内膜癌,前立腺癌と,蛋白ペプチドホルモン依存性の甲状腺癌,副腎皮質癌,性腺癌等が含まれる。しかし,患者数が圧倒的に多くて代表的なのがエストロゲン依存性の乳癌とアンドロゲン依存性の前立腺癌であり,特に乳癌である。本特集では乳癌発症のnatural historyについて述べよとのことであるが,乳癌発症においてエストロゲンが主役を演ずることを主に述べることにする。
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