病気のはなし
絨毛癌
山辺 徹
1
1長崎大学医学部産婦人科
pp.876-881
発行日 1983年10月1日
Published Date 1983/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202866
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胎盤の絨毛成分から生じる病変のうち,全胞状奇胎(全奇胎),部分胞状奇胎(部分奇胎),侵入胞状奇胎(侵入奇胎,侵奇)〔または破壊胞状奇胎(破壊奇胎,破奇)〕および絨毛癌(絨癌)を総称して絨毛性疾患という.絨毛癌は絨毛上皮腫とも呼ばれるが,欧米では広くchoriocarcinomaの語が用いられており,病態的にも癌と考えるべき根拠が多いことから,絨毛性疾患分類に関する日本産科婦人科学会・日本病理学会合同委員会4)では,絨毛癌の呼称を採用した.
絨毛癌は"絨毛細胞からなる悪性腫瘍で,組織学的に絨毛細胞(cytotrophoblastおよびsyncytiotrophoblast)の浸潤破壊性増殖を示し,絨毛形態を認めないもの"と定義されている4).したがって,その確定診断は摘出物の組織学的検査によらねばならない.臨床的には侵入奇胎との鑑別が問題となるが,これらは予後の面で明らかな差がある.
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