グラフ 胎児の機能診断
心拍出量と胎児仮死
金岡 毅
1
Tsuyoshi Kaneoka
1
1福岡大学医学部産婦人科学教室
pp.140-144
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207132
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胎児心拍出量の測定は,かつて動物の胎仔において,色素稀釈法,アイソトープ法,インピーダンス法など侵襲的な測定法によって,実験的に測定されていた。ところが最近,超音波断層法の発展により,ひとの胎児でも非観血的に心拍出量が測定できるようになった。その測定法を図1〜図3に示した。この方法では超音波リアルタイム・スキャンを用い,子宮内胎児の左・右心室容量を測定し,拡張期終末end-diastolic phaseの容量から,収縮期終末end-systolic phaseの容量を差し引いたものを,それぞれ左・右心室の心拍出量とするわけである。本法は技術的にやや困難で,測定の正確さにも多少の問題があり,いまだに産科臨床に直結したオン・ライン診断法とはいえないが,胎児超音波診断の未来を示す興味深い診断法のひとつといえる。
図4は羊のデータに基づく心拍出量の分布を示したもので,卵円孔や動脈管などのシャント・フローが多い胎児循環系においては,左心室の拍出量がそのまま心拍出量ではなく,むしろ左右両心室の拍出量を合計したものを心拍出量と考えたほうが良いのかもしれない。
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