特集 着床
着床環境の生化学的・内分泌学的側面
武谷 雄二
1
,
石原 智子
1
,
宮内 彰人
1
,
水野 正彦
1
Yuji Taketani
1
1東京大学医学部産科婦人科教室
pp.31-36
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904814
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着床は妊娠の起点であり,受精卵と子宮壁との間に器質的な結合が成立した状態をさす。着床に際し遺伝的に異なる細胞(allogenic cell)が結合するため,着床の場では極めて例外的な生物現象が展開されている。
着床が成立するためには卵と子宮内膜とが時間的・空間的に合致することが要求される。受精卵はある程度の自律性をもって初期胚の形成が進行するが,子宮内膜は主として卵巣に由来するホルモンによる調節を受けて,妊卵を受容するための環境を整備する。また,妊卵も種々の液性のsignalを直接的・間接的に子宮内膜に送信し,性ステロイドホルモンと相まって子宮内膜の妊卵の受容能を高めることになる。したがって,着床時には子宮内膜は形態学的変化とともに種々の刺激に反応して特有の生化学的・内分泌学的変化が進展している。
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