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特集 躁うつ病とセロトニン
リチウムとセロトニン—神経内分泌学的側面
Lithium and Serotonin: Neuroendocrinological aspects
小山 司
1
,
小田垣 雄二
1
,
市川 淳二
1
,
山下 格
1
Tsukasa Koyama
1
,
Yuji Odagaki
1
,
Junji Ichikawa
1
,
Itaru Yamashita
1
1北海道大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry and Neurology, Hokkaido University School of Medicine
pp.1289-1296
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204434
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I.はじめに
1949年,Cade2)が躁病に対するリチウム塩の有効性を報告して以来,数多くの追試によってその抗躁効果が確認される一方,Schouら19)はリチウムには躁うつ病の予防効果もあることを報告し,現在では躁病の治療に欠くことのできない薬物となっている。また最近,リチウムの抗うつ効果18,22)についても論じられるようになり,感情安定化薬物としてのリチウムが有する特異な向精神作用や薬理作用に新たな関心がもたれている。
一方,躁うつ病の成因に関して,脳内,特に感情中枢におけるカテコールアミンやセロトニン(5-HT)の機能的異常によると考えるいわゆるモノアミン仮説4,20)が提唱されたことは周知の事実である。したがってリチウムの作用機序についても,これら脳内モノアミンとの関連で膨大な研究が行われてきた7)。このうち本特集のテーマである5-HT系に与える影響については,当初は主に5-HT代謝に関する研究が数多く行われたが,報告により結果がさまざまで,いまだ一定の結論に至っていない。しかし最近,脳内の受容体理論が確立され,受容体の結合実験技法などの新しい研究手技が導入されると,リチウムの作用機序における5-HT系の役割を,受容体機能との相互作用から改めて検討しなおす研究が盛んに行われるようになった。
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