指標
卵胞破裂機構の基礎的検討
吉村 泰典
1
1藤田学園保健衛生大学病院産婦人科
pp.3-17
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904811
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女性の生殖生理で最も重要な排卵とは単一現象ではなく,顆粒膜細胞・莢膜細胞など卵胞構成細胞の形態学的成熟に伴う生化学的変化,卵核および卵細胞質の成熟,卵丘の遊離,卵胞壁頂部結合織の融解菲薄化に伴う破裂,成熟卵の放出ならびに黄体化に至る一連の現象の複合体である1-5)。最近の生殖生理学の発展には目覚しいものがあり,その卵胞構成細胞の内分泌能の調節機構の観点より詳細な検討がなされている。しかしその排卵の最終過程,すなわち成熟卵胞壁頂部結合織の離開によって生じた組織間隙より,卵丘細胞にて包囲された成熟卵が放出される過程に関しては未だ不明の点が多い。本稿においては,排卵現象の一過程である卵胞破裂機序について筆者らの研究成績を紹介し,排卵機構の概説とともに報告する。
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