今月の臨床 排卵誘発の問題点—新しい工夫と対策
排卵誘発
C.hMG-hCG
1.OHSSの予防 1)GnRH,LHによる卵胞破裂(排卵)促進
福岡 秀興
1
,
大石 ひとみ
1
1東京大学大学院医学系研究科国際生物医科学
pp.780-784
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904374
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はじめに
不妊治療に排卵誘発が積極的に行われているが,hMG-hCGによる排卵誘発法には,多胎妊娠・流産の高いことなど多くの副作用がある.特に問題となるのは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)であり,発症頻度は高く,時に致死的な症状を呈する.4〜5年前は入院加療が必要な重症のOHSSは6.2%前後だったが,2000年に7.0%となり,入院加療患者数は年間1万人を超え,重篤なOHSSの患者数は増えると予想される.死亡例,脳血栓,脳梗塞その他が報告されており,平成8年には,現行のhMG-hCG療法では血栓塞栓症,脳梗塞などを伴う重篤なOHSS発症の危険性があるという緊急安全情報が出された.“如何なる排卵誘発法であっても,OHSSは発症し得るものであり,その発症の予見は不可能である1)”とすら言われ,その予防は最重要課題の一つである.OHSSの発症を低く抑えることが期待される新しい排卵誘発法としてLH,GnRH(パルス療法)およびGnRHantagonistが注目されており,この3つを紹介したい.また人尿由来LHの特性をhCGと比較して,臨床応用の可能性についても言及したい.
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