今月の臨床 —どこまで可能か—悪性腫瘍治療と妊孕能温存
卵巣癌
1.境界悪性卵巣腫瘍における妊孕能温存について
安達 進
1
,
小笠原 利忠
1
,
香山 浩二
1
1兵庫医科大学産婦人科
pp.988-992
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904704
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はじめに
本邦における卵巣悪性腫瘍の発生頻度は年6,000人以上であり,毎年4%以上の増加率で増加している.境界悪性卵巣腫瘍の正確な発生頻度は不明であるが,欧米での報告では卵巣悪性腫瘍の10〜20%とされ1,2),卵巣悪性腫瘍の増加傾向から考えると,境界悪性卵巣腫瘍も同様に増加していると考えられる.境界悪性卵巣腫瘍は悪性卵巣腫瘍と比較して,若年者に多く発生するため,妊孕能の温存が重要な問題となる.境界悪性卵巣腫瘍は悪性卵巣腫瘍と比較して予後は良好であり2),多くの症例において妊孕能温存手術が可能と考えられる.そこで本稿では,主に境界悪性卵巣腫瘍における妊孕能の温存について,文献報告と一部自検例について検討する.
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