今月の臨床 —どこまで可能か—悪性腫瘍治療と妊孕能温存
子宮体癌
2.妊孕能温存治療の実際
玉舎 輝彦
1
,
丹羽 憲司
1
1岐阜大学医学部女性生殖器学
pp.984-987
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904703
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背景
子宮体癌が増加し,子宮癌の30%以上を占めるようになってきた.その背景には少産少子,晩婚化,食生活の欧米化(高動物性蛋白・脂肪摂取による肥満)などが関係するもの1)や高齢化と関係するものとが考えられる.
その中で妊孕能を必要とするのは若年層の体癌である.この若年体癌の危険因子は日本も米国とともにPCO症候群であり,その上に肥満,排卵障害が被っている2).これはエストロゲンの持続性刺激からくるタイプⅠ,すなわち増殖期子宮内膜→子宮内膜増殖症(嚢胞性→腺腫様→異型)→高分化型体癌の過程を経たもので,び漫性に発育し筋層漫潤が少ないものが多い1).一方,タイプⅡは高齢女性に多く,萎縮子宮内膜の遺伝子異常により発生し,限局性に発育し低分化型や筋層浸潤が強く,予後が悪い(図1).
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