今月の臨床 —どこまで可能か—悪性腫瘍治療と妊孕能温存
子宮頸癌
1.子宮頸部前癌病変 1)妊孕能を考慮した円錐切除術のコツ
八杉 利治
1
,
尾崎 さおり
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.950-953
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904696
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はじめに
子宮頸部円錐切除術は,子宮頸部異形成や初期頸癌(上皮内癌,微小浸潤癌)に対する診断法あるいは子宮温存療法として広く用いられている.Cervical intraepithelial neoplasia(CIN)に対する子宮温存治療の方法としては,円錐切除術の他に,レーザー蒸散法や冷凍療法などが従来より採用されてきた.Nuovoら1)は,SIL(squamous intraepithelial lesions)の治療としての円錐切除術,冷凍療法,レーザー蒸散法,loop electrosur—gical excision procedure(LEEP)の成績を評価したrandomized control studyを集め,メタアナリシスを行っている.それによれば消失率は85.2〜94.7%であるが,各療法の消失率の95%CIは重なっており,いずれの治療法も大きな差はないとしている.しかし,レーザー蒸散法や冷凍療法では,術後の組織標本が得られないという欠点があり,冷凍療法では効果の確実性を疑問視する報告もある.術後の組織標本が得られ,十分な治療が行われたかどうかを評価するという観点を重視する場合には,円錐切除術や,LEEPを選択する施設が多い.
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