今月の臨床 —どこまで可能か—悪性腫瘍治療と妊孕能温存
子宮頸癌
1.子宮頸部前癌病変 2)円錐切除術は不妊の原因となるか
藤井 恒夫
1
1国立病院呉医療センター産婦人科
pp.955-959
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904697
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はじめに
発癌の若年化と癌検診により近年若年者の子宮癌とその前癌病変は増加し,妊孕能温存を希望する患者は多い.当科では子宮頸部初期病変に対する子宮温存療法として,基本的には中等度異形成まではCO2レーザー蒸散法(以下,CO2蒸散)を,高度異形成以上はYAGレーザー円錐切除術(以下YAG円切)を適応にしているが,細胞診,コルポ診,狙い組織診による正確な術前診断が不可欠であり,病変の拡がりと根治性,挙児希望などから症例を個別化して術式を決定しているのが現状である1,2).主たる病変が頸管外にあればCO2蒸散でも治癒可能であるが,病変が頸管内に拡がる場合は,根治性を考えて病変に応じた頸管切除が必要である.特に挙児希望がある場合は,頸管長の短縮がその後の妊娠成立や分娩までの経過にどの程度影響するか否かが問題である.今回,当科における子宮温存症例のうち,円錐切除術を施行した挙児希望例に焦点をあて,術後の妊孕能について検討し,さらに他施設の報告とも比較して,円錐切除術が新たな不妊の原因となるかについて述べる.
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