今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
取り扱い方針について
5-1.絨毛性疾患—胞状奇胎後の妊娠
後藤 節子
1
,
野村 誠二
2
,
岡本 知光
2
1名古屋大学医療技術短期大学部
2名古屋大学医学部産婦人科
pp.1058-1059
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902630
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絨毛性疾患の発症はchild bearing ageである20歳代にピークがあり,その治療,管理にはその後の妊娠への十分な配慮が必要である.ことに胞状奇胎後の経過が順調な症例に対しては,最近の晩婚化,出産年齢高齢化の社会傾向より,避妊期間の短縮化が望まれる.また(胞状)奇胎後絨毛性疾患治療症例については,hCG測定法・画像診断法・化学療法の進歩により,妊孕能を温存したまま寛解する症例が増加している.ここに新たな問題として,化学療法剤の卵子に対する,また妊娠・分娩に対する影響,さらには分娩後の絨毛性疾患の再発への懸念などが存在する.
本稿では①奇胎後の経過順調症例に対する妊娠許可,②化学療法後症例における妊娠・分娩,の2点を中心に述べる.
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