今月の臨床 卵巣がんと闘うために
検査・診断
2.画像診断 2)MRI
松崎 健司
1
1徳島大学医学部放射線科
pp.792-799
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903680
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女性骨盤病変の画像診断において,MRIは超音波断層法と並んで重要な役割を果たす検査法である.その優れた組織コントラストは出血,脂肪,線維成分などの特異的描出が可能であり,造影剤の併用により実質成分の質的診断に貢献する.任意の断層面が選択できる特性は,病変の発生臓器の同定や進展範囲の診断に有用性が高い.また,超音波と同様にX線被曝がなく若年女性骨盤の精査に適した検査である.
近年,MRI装置や撮像法の発達により従来よりも短時間で高解像度の画像が得られるようになってきた.骨盤部の検査では,T1,T2強調画像に必要に応じて造影T1強調画像を追加するのが一般的であり,撮像可能な装置では適宜,脂肪抑制画像やdynamic studyが施行される.従来はSE(spin echo)法にて撮像されていたT2強調画像は,FSE(fast spin echo)法の普及により撮像時間の短縮が可能となったが,脂肪が高信号を呈する特性に留意する必要がある.またphased arraycoilのような高感度の表面コイルを使用することによりCTに匹敵する空間分解能が得られる反面で,撮像範囲の制限があり進行癌のstagingには限界がある.
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