今月の臨床 卵巣がんと闘うために
検査・診断
3.卵巣癌と腫瘍マーカー
梅咲 直彦
1
,
田中 哲二
1
,
深山 雅人
1
,
荻田 幸雄
1
1大阪市立大学医学部産科婦人科
pp.800-802
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903681
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卵巣癌の臨床に用いられる腫瘍マーカーは多数挙げられる.その多くは癌化にともない変化した糖鎖構造を認識するモノクローナル抗体を用いたものである.しかしいずれのマーカーも単独で早期診断に用いることは困難である.近年,多くのマーカーを組み合わせ診断効率を上げる試みがなされ一定の評価が得られてきたが,それでも早期診断という面では満足な結果が得られていない.さらにこれらの方法は経費の面からも一般臨床に用いるのは困難である.
マーカーの診断上の応用は,画像診断で卵巣腫瘍を発見したとき,その良・悪性の鑑別診断の補助診断法として用いられている.しかしマーカーの有効性はむしろ治療効果判定,また再発診断にあり,これらの面では画像診断より優れている.そのため術前におけるマーカーの測定は極端にいえば術後の経過観察に用いるマーカーの選別にあるともいえる.
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