症例
同一偏側の腟留血腫と腎尿管欠損を伴った重複子宮・腟の1例
上坊 敏子
1
,
秦 和子
1
,
秦 宏樹
1
,
蔵本 博行
1
Toshiko Jobo
1
1北里大学医学部産婦人科学教室
pp.487-491
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206640
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子宮の重複奇形は,その程度によって,分離重複子宮,双頸双角子宮,中隔子宮の3型に分けられる。これら重複奇形の正確な頻度を測ることは困難であるが,諸家の報告ではおしなべて0.1〜0.2%とする者が多く,決して稀有な奇形ではない。しかし,そのうち,重複子宮に加えて重複腟で,かつ一側の腟閉鎖による腟留血腫,さらに同側の腎尿管欠損を合併するという複合奇形を呈する症例は極めてまれである。1950年にEmbrey1)がこのような症例を初めて報告して以来,筆者が文献的に調査したところでは,外国に31例1〜12),本邦ではわずかに2例13,14)(表1)の報告例がみられるのみである。
そこで,われわれは,本奇形群に類する重複子宮,右側腟留血腫および同側尿路欠損を伴う1例を経験したのを機会に,本症例を詳しく報告するとともに,本例を加えた34例を集計し総説したい。
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