症例
片側の子宮溜血腫卵巣嚢腫および同側の腎無形成を伴った重複子宮の1症例
三宅 敏一
1
,
長谷部 宏
1
,
青野 敏博
2
Toshikazu Miyake
1
,
Hiroshi Hasebe
1
,
Toshihiro Aono
2
1徳島県立海部病院産科婦人科
2徳島大学医学部産科婦人科学教室
pp.807-811
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208060
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一側腟が存在せず片側の子宮溜血腫,卵巣嚢腫および同側の腎無形成を伴った重複子宮の症例を経験したので報告する。症例は14歳の少女で,初め虫垂炎の疑いにて開腹し,重複子宮と右卵巣嚢腫を認めたため,右付属器摘出術を施行した。後日,腟式に腟壁および子宮壁部分切除術を施行し,確定診断をしえた。一側の腟閉鎖による腟溜血腫および同側の腎無形成を伴う重複子宮は,本邦では10数例の報告があるが,本症例のような子宮溜血腫を伴う重複子宮は3例しか報告がなくきわめてまれである。このような子宮奇形は若年女性に発症し,開放側の腟より規則的な月経をみるため診断が困難である。しかし,診断が確定すれば開腹手術は必ずしも必要ではなく,また将来の妊孕性および術中術後の合併症等を考慮すると,経腟的な手術で十分の場合が多い。患者は,腟式手術後6カ月経つが,経過は良好であり,将来,健側子宮での妊娠・分娩は十分に可能であると考えている。
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