今月の臨床 婦人科外来
婦人科腫瘍患者の診療
3.卵巣腫瘍
薬師寺 道明
1
,
駒井 幹
1
1久留米大学医学部産婦人科
pp.470-475
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903608
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●はじめに
子宮癌に対するスクリーニング制度の充実,pa—clitaxel, CPT−11など新抗癌剤の登場,手術技術,材料の進歩などの悪性腫瘍に対する集学的医療の向上により,子宮頸癌や絨毛癌などは近年,死亡率の減少を認めており,医療側の成果が現れているが,卵巣癌は努力の甲斐なく,罹患率の上昇と相まって死亡率も上昇の一途を辿っている.これは,進行卵巣癌での予後の改善がほとんど認められないことに起因するものと考えられ,現時点でも卵巣癌に対する最良の対策は,早期発見,早期治療に尽きるといわざるを得ない.
したがって,婦人科外来の卵巣腫瘍における役割は,できるかぎり早期に腫瘤を検出し,良・悪性を判定し,治療方針を早期決定することが最も重要であると考えられる.しかし卵巣に発生する腫瘍は,その解剖学的特性,すなわち骨盤内に位置し,腹腔内の広いスペースに自由に増大できるため,症状が出現しにくく,また何らかの自覚症状があっても卵巣腫瘍に特有な症状がないため,婦人科に受診するとは限らないなどの理由で早期診断が困難なことが多い.
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