特集 手術とFunctional Anatomy
Ⅵ.卵巣の手術
卵巣悪性腫瘍の保存的手術
加藤 俊
1
,
薬師寺 道明
1
Toshi Kato
1
,
Michiaki Yakushiji
1
1久留米大学医学部産婦人科学教室
pp.896-899
発行日 1978年11月10日
Published Date 1978/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205947
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女性性器悪性腫瘍のうち,子宮癌や絨毛癌については,診断および治療法が著しい進歩を遂げていることは周知のごとくである。しかしながら,卵巣の悪性腫瘍では,過去30年間ほとんど向上がみられず,婦人科領域において最も解決を迫られている分野の一つである。
一方,卵巣は子宮とともに,女性の性機能を司る重要な臓器であり,とくに若い年代層の婦人にとっては,卵巣の摘除ということは重大な問題であろう。しかし,無情にも卵巣の腫瘍は,あらゆる年代層に発生し,予後の良性のものから極めて悪性のものまで変化に富んでおり,しかも早期診断が困難なことや腫瘍の類別を術前に診断することは特殊な腫瘍を除いては不可能な場合が多くて開腹術後に初めて確診を得る場合がほとんどであることも,ますます問題を複雑にしていると考えられる。
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