今月の臨床 婦人科外来
婦人科腫瘍患者の診療
2.子宮内膜症
堤 治
1
1東京大学医学部産科婦人科
pp.464-469
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903607
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●はじめに
子宮内膜症は子宮内膜組織が異所性(多くは子宮以外の骨盤内)に存在し,エストロゲンにより増殖,進行する疾患である1).近年結婚・出産の高年齢化など女性のライフスタイルの変化により増加しているといわれる.1997(平成9)年度の厚生省研究班の調査報告では約12万人の女性が子宮内膜症の診療を受けていることが確認され2),実数は100万人に上ると推定される.またこの数十年間で環境中に増加している内分泌攪乱物質(環境ホルモン)がエストロゲン依存性疾患である子宮内膜症の発生や増悪に関係しないかという推論があり3),実際ダイオキシンがその発生に関与するという報告4)が注目を集めている.
子宮内膜症の最終診断は,腹腔鏡あるいは開腹による視診さらには組織診で行うが,実地診療においては,各種疾患と鑑別しながら診断を進めなければならないことも多い.とくに疼痛の有無や程度,挙児希望(内膜症性不妊の有無),器質的病変の正確な把握が必要となる.それに基づいて治療を行うが,薬物療法を選択するか手術療法を選択するかはそれぞれの症例により,また施設によっても考え方が異なるところもある.ここでは,当科における子宮内膜症の外来診療における最近の考え方を述べる.
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