原著
乳癌術後の抗エストロゲン剤投与中にみられた内性器の器質的疾患例について
髙橋 久壽
1
,
塩見 ひろ美
1
,
井川 佐紀
1
,
中田 昭愷
2
,
斎藤 恒雄
2
,
今富 亨亮
2
1JA徳島厚生連麻植協同病院産婦人科
2JA徳島厚生連麻植協同病院外科
pp.1315-1319
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903438
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乳癌の術後補助療法剤のtamoxifenは同時にエストロゲン作用も持ち合わせているため,子宮の器質的疾患の発生が問題視されている.そこで,当院外科での最近10年間に行った手術例について調査検討した.本剤の投与を受けた75例のうち,産婦人科を受診したのは56例(75%)あり,器質性疾患として,内膜癌2例,卵管癌1例(続発症か?)と巨大な内膜ポリープ4例などが発見された.内膜癌の発生は2.7%(文献13では0.5%)と高頻度であった.また,内膜ポリープは巨大化するのが特徴で,このうちの2例はボール状で最大径が50mmと43mmに達し,胞状奇胎様のエコー像を呈し,悪性を疑って子宮摘出に至っているが,的確な術前診断があればTCRが最適な治療法であろう.以上のような疾患の診断には,外科医と連携した患者教育をし,無症状でも3〜6か月ごとの検診で,内膜癌の前癌状態である内膜増殖症と内膜ポリープの早期治療を行うべきである.
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