今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診
疫学と発生
3.乳癌の発生とエストロゲン
鎌田 正晴
1
,
上村 浩一
1
,
前川 正彦
1
,
苛原 稔
1
,
青野 敏博
1
1徳島大学医学部産科婦人科
pp.344-351
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904293
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はじめに
乳癌のリスクファクターとして,早い初経,遅い閉経,閉経後の肥満などが知られている(「乳癌のリスクファクター」の項参照).いずれも乳腺組織がエストロゲンに曝露されている時間が長いことを意味しており,男性や,早発閉経あるいは若いうちに両側卵巣摘出術を受けた女性では乳癌の発症が少ないという事実と併せ1),エストロゲンが乳癌の発症に関与していることは明らかである.興味深いことに,乳癌と同様にエストロゲン依存性の癌である子宮内膜癌においては,プロゲストーゲンがエストロゲンレセプター(estrogen receptor:ER)をダウンレギュレートしてエストロゲンの作用に拮抗することが知られているが,乳癌では逆に促進的に作用する可能性が指摘されている2).本稿では,エストロゲンおよびプロゲストーゲンと乳癌との関連について述べ,ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)における乳癌の発症リスクについて概説する.
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