連載 Estrogen Series・30
乳癌生存率と更年期後のエストロゲン補充療法
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.1198-1199
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903406
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乳癌の発育がエストロゲンの仲介によりなされることは,よく知られていることである.このような作用は乳癌再発に対する補助的療法としてホルモン療法をする根拠となっている.乳癌発見時に患者が更年期前または後であったか,また癌組織の性ホルモン受容体の有無は,乳癌の生存率と再発率に関連するところである.
このような乳癌と性ホルモンとの関連は,ホルモン補充療法(HRT)の有無が乳癌とどのような関連を持つか,という疑問にわれわれを導く.今までのところ,エストロゲンの使用が乳癌発生を増加させると結論した研究は多くはない.乳癌とエストロゲンとの関連はいまだ十分には解明されてはいず,患者と医療者との双方に不安を与え続けている問題である.更年期後の女性に乳癌が発見されたとき,その生存は現在または過去のHRT使用により影響を受けるであろうか,という疑問に答えるのがこの研究の目的である.また,エストロゲンおよびプロゲステロンに対する受容体の有無とホルモン使用との関連についても調べた.
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