連載 OBSTETRIC NEWS
ニフェジピンと塩酸リトドリンの比較〜陣痛抑制剤有用性の研究の判定
武久 徹
pp.1191-1193
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903405
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早産の管理において,早産の予知に関して有用性の高い研究結果が発表され,その多くの研究結果は,日常臨床に採用されている(OG 87:643,1996;NEJM 334:567,1996).一方,切迫早産の治療に新しい薬剤が次々に開発されている(AJOG 176:S2,1997)が,早産は高率に予知できたとしても,陣痛を長期間抑制できる薬剤はなく(AJOG 168:1247,1993),早産率の改善はみられない〔母子保健の主なる統計1996年(1997年刊),p47〕.
今回,オランダのグループが,切迫早産に対するニフェジピン(カルシウム拮抗薬)の有用性に関する研究を発表した.対象は,単胎で早発陣痛症例(前期破水例を含む)185例とした.多胎妊娠,明らかな子宮内感染,先天奇形,胎盤早期剥離,高度子宮内胎児発育遅延,β—刺激薬禁忌例(糖尿病,心血管系疾患,甲状腺機能亢進症,重症妊娠中毒症)は除外した.切迫早産の診断基準は,規則正しい子宮収縮(少なくとも10分ごと×≧1時間)とし,頸管の変化は診断基準に含まなかった.研究対象は,無作為に2群(ニフェジピン舌下錠投与群95例,塩酸リトドリン静注群90例)に分類した.塩酸リトドリン群のなかの12例は,母体の高度副作用(嘔気,嘔吐,頻脈,不安,頭痛)のため,投与中止となった.
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