連載 Estrogen Series・89
エストロゲンと乳癌(2) 更年期後におけるエストロゲンを含むホルモン療法と乳癌発生リスク
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.90-91
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102262
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ホルモン療法(HT)と乳癌発生との関連に関しては,多くの観察的研究がある.その関連の程度やHTの持続期間に関しては多くの報告がなされている.1990年代に行われたWHI調査はエストロゲンを含む製剤とプラセボとをランダムに割り当てた臨床試験である.プラセボに比較して,抱合型エストロゲン単剤の使用者では,そのHR(hazard ratio)は0.80(95%CI:0.62~1.04)である.抱合型エストロゲンとMPA(medroxyprogesterone acetate)の組み合わせを使用した場合には,HR=1.26(95%CI:1.0~1.59)である.
テストステロンを含むHTは,更年期後の血管運動性症状があり,エストロゲン(+・-プロゲストゲン)のみでは症状が改善しないときに使用される.テストステロンはリビドーの改善,疲労の改善,一般的な患者のwell-beingを改善することが知られている.
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