今月の臨床 難治性細菌感染症
婦人科の難治性感染症
6.骨盤腹膜炎
竹島 信宏
1
,
陳 瑞東
1
1癌研究会附属病院婦人科
pp.932-933
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903335
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概念および原因
膀胱子宮窩,子宮,卵管,ダグラス窩,直腸,S状結腸の表面を覆う腹膜の炎症を骨盤腹膜炎と総称している.この骨盤腹膜炎を含む付属器炎,付属器膿瘍,ダグラス窩膿瘍などをPID(pelvicinflammatory disease)と統括して呼ぶことも多い.骨盤腹膜炎は,通常,上行性感染であり,子宮内感染から,付属器炎,さらに骨盤腹膜炎へと進展する場合が多いとされるが,これ以外にも外科的疾患やその他さまざまな原因が報告されている.表1には主な原因疾患を示したが,子宮体部細胞診1),子宮卵管造影2),腹腔鏡検査3)などの医学的処置が原因と思われる骨盤腹膜炎や,まれには大網膿瘍4),横隔膜下膿瘍5)などの合併も報告されている.また,婦人科手術の術後にみられるものとしては,広汎性子宮全摘後の骨盤死腔炎,あるいはリンパ節郭清後のリンパ嚢胞炎などから,骨盤腹膜炎へと発展するものなどが挙げられる.
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