今月の臨床 腫瘍マーカーは何を語るか
診断への実践的応用
4.子宮頸癌の予防と抗HPV抗体
恩田 貴志
1
,
喜納 奈緒
1
,
吉川 裕之
1
1東京大学医学部産婦人科
pp.170-172
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903171
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ヒトパピローマウイルス(HPV)は現在までに70種類以上の型が同定されており,婦人科領域に関連の深い型として,6,11型は尖圭コンジローマの,16,18,31,33,35,45,52,56,58型など約10の型は子宮頸部前癌病変や子宮頸癌の原因ウイルスと考えられている.子宮頸癌においては,約90%にHPV DNAが検出され1),検出されるHPVの型により子宮頸癌の予後に差が認められることなども報告されている2).現在,HPVに対する免疫応答(ワクチン)を利用したHPV感染に対する予防的ワクチンや,子宮頸癌に対する治療的ワクチンについて研究が開始されており,これまでに明らかとなった抗HPV抗体の検出に関する研究結果などをもとに,盛んに研究が行われている.
ここでは,抗HPV抗体およびワクチン開発に関する研究について紹介する.
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