今月の臨床 産科における検査法—有用性と再評価
妊娠中期
3.胎児肺成熟の検査は必要か
茨 聡
1
,
安里 義英
1
1鹿児島市立病院周産期医療センター
pp.820-826
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902996
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1976年にGluckら1)によって,世界ではじめて羊水中のレシチン(ホスファチジルコリン)/スフィンゴミエリン(lecithin/sphingomyelin:L/S)比の測定による胎児肺の肺サーファクタント量(pool size)の推定,すなわち呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)発症予測に関する出生前診断が可能であることが報告されて以来,種々の肺成熟評価法(肺サーファクタントに関する)が報告されてきた.しかしながら近年,藤原ら2)によりRDSに対する肺サーファクタント(pulmonary surfactant:PSF)補充療法が確立され,一般臨床に普及し,RDSに対する効果とその予後の改善が明らかとなってきた.それにつれ、肺サーファクタント補充療法が可能な現在でも,胎児肺成熟の評価が必要であるかという疑問がわいてくる.そこで本稿では,種々の肺成熟評価法の特徴とその出生前評価の必要性について検討してみた.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.