今月の臨床 産科外来検診マニュアル
妊娠初期
9.流産の予後診断
吉田 信隆
1
Nobutaka Yoshida
1
1社会保険広島市民病院産婦人科
pp.486-487
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901264
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流産の予後診断に経腟超音波断層法が用いられる以前は,妊娠初期(12週未満)の切迫流産の初期症状として,下腹部痛や性器出血が重要な症状であるとされて来た。しかしながら,経腟超音波断層法を用いて数mmの胎児や胎嚢が確認できる状態となった現在においては,出血や下腹部痛が出現する以前において流産の予後判定が可能となり,妊娠4〜6週では妊娠反応の推移と胎嚢の出現,それ以降では胎児の心拍動と胎児の大きさの成長程度が予後判定に重要であることが報告されている。
そこで妊娠の初期に陽性となる検査の順序が問題となる。表1に体外受精で正常経過をたどった妊娠の妊娠反応の推移・胎嚢〔子宮内膜の内腔にほぼ接した形で,輝いたリング状に描出される(約3mm以上)〕・卵黄嚢そして胎児心拍動それぞれの確認時期を示した。正常妊娠では体外受精より数日早くこれらの検査結果が得られると考えられる。妊娠の初期において各検査結果が陽性を示す順序はこの表の通りであり,切迫流産の予後を診断する場合,妊娠6週までは胎嚢の出現と妊娠反応の推移が重要であり,それ以降では胎児心拍動の確認・卵黄嚢の確認が重要であることが示されている。
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