今月の臨床 婦人科がんの化学療法—われわれはこうしいる
末梢血幹細胞移植による進行卵巣癌の治療
篠塚 孝男
1
,
平澤 猛
1
1東海大学医学部産婦人科
pp.740-743
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902978
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
白金製剤を主体とした多剤併用療法により,臨床進行期III・IV期の進行卵巣癌においても治療成績の改善が得られるようになったかに見えたが,それらの長期予後成績を文献上の報告からみるとけっして満足できるものではなく,5年生存率は25〜30%でプラトーとなっているのが現況である.しかし一方で,消化器系の固型癌においては,腹腔内播種や胸水貯留がみられるようになるまで進行した症例は積極的な治療の対象とはならないが,卵巣癌ではこのような症例でも可能な限りの腫瘍摘出を行ったあとにシスプラチン(CDDP)を主体とした抗癌剤を投与すれば,それなりの治療効果が得られることが判明している.このことは卵巣癌が消化器系の癌よりも抗癌剤に対する感受性が高いことを示しており,手術療法に加えて化学療法にも工夫を加えることにより,長期予後においても治療成績の向上が得られる可能性のあることを示唆する重要な事実と思われる.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.