今月の臨床 治療困難例の排卵誘発
内服剤による治療
2.PCO症候群にクロミフェンは効かないか
奥田 喜代司
1
1大阪医科大学産科婦人科
pp.588-590
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902940
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排卵障害例に対するクロミフェンの排卵誘発率は57〜91%1)と高いが,第2度無月経例などには排卵誘発率が低いとされている.一方,Polsonら2)はPCO(polycystic ovary)症候群におけるクロミフェン(100mg×5日)の排卵誘発率を66.7%(27例中18例)と報告している.したがって,PCO症候群に対してのクロミフェン療法の排卵誘発効果は低いとは言えない.しかし,クロミフェン無効のPCO症候群に対するhMG-hCG療法は低ゴナドトロピン性排卵障害例に比べて卵巣過剰刺激症候群の発生頻度が高く,臨床的に問題となることが多い.また,PCO症候群に対する手術療法は腹腔鏡下手術3)や超音波下経腟卵巣穿刺術4)の登場により患者の負担が少なくなったが,侵襲的な療法である.本稿ではPCO症候群におけるより安全,有効な非侵襲的排卵誘発法を目指してクロミフェン療法および併用療法を考察した.
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