今月の臨床 婦人科外来治療—Dos & Don'ts
不妊外来
3.クロミフェン療法
小嶋 哲矢
1
,
藤野 祐司
2
1新千里病院産婦人科
2大阪市立大学医学部産婦人科
pp.186-187
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902838
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クロミフェン(clomiphene citrate:クロミッド®)は,高い排卵誘発率にもかかわらず,卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠の頻度が比較的低く,また経口剤であるため日常臨床における排卵誘発剤の第1選択として広く使用されている,その適応症例は排卵障害,黄体機能不全,多嚢胞卵巣症候群などが対象とされている(表1).一方,クロミフェンの薬理作用は視床下部エストロゲン受容体と結合することにより,内因性(卵巣性)エストロゲンと視床下部エストロゲン受容体との結合が阻害され,視床下部では実質的なエストロゲン欠乏状態が惹起され,その結果,視床下部からゴナドトロピン刺激ホルモン(Gn-RH)が大量に分泌され,下垂体からゴナドトロピン(FSH,LH)分泌が亢進し,卵胞発育を促進し排卵を誘起させる1),したがって,クロミフェン療法は生理的機序に近い排卵誘発療法であると考えられる2).
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